「保留コーヒー」~1杯のコーヒーから香る人のぬくもり~


保留コーヒー

「保留コーヒー」という言葉を聞いたことありますか?

イタリア・ナポリの伝統的な支えあい精神に基づいていて、温かい飲み物や食べ物を必要としている誰かのために、他人がその料金を先払いする、という制度です。
イタリア語では「Caffe sospeso」、英語では「Suspended Coffee」と呼ばれています。

■ナポリから世界へ

例えば、「コーヒー2杯ください。1杯は保留で」と注文すると、客は2杯分のコーヒー代を払い、1杯のコーヒーを受け取ります。
もう1杯はお店で「保留」として記録され、生活費に苦しんでいる人が訪れた際に、無料でそのコーヒーが提供されるのです。

欧州では毎日の暮らしに根づいているコーヒー。近年の深刻な債務危機や雇用情勢の悪化などから、コーヒー代を支払うこともままならない人達が増えています。

このような状況から、一度廃れていた「保留コーヒー」がイタリアで復活。この運動に賛同する人や企業が増え、フェイスブックなどのSNSを通じて世界中に広まりました。

そして今では、イタリアをはじめブルガリア、イギリス、フランス、アメリカ、オーストラリアなど世界各地で、この「保留コーヒー」を取り入れているお店があります。中にはパンやサンドイッチも保留できるお店も出てきました。

■エゴイズムを超えて

困っている誰かのために、ささやかな思いやりの行動をする保留コーヒー。私達の状況と同じではありませんが、この保留コーヒーには利他の心が香っています。

自分のことだけで精一杯、そんな時もあります。自分さえ良ければいい、という心を一歩超えて、人のために何ができるか―。
困っている人・大変な状況の人を見つけたら自ら手を差し伸べる、また大切な人に温かい励ましの言葉をかけることもそうかもしれません。

私達一人一人がそういう利他の心を持っていくこと、自分が人にできることをやっていくことで、さらにもっと美しい世界になっていくのではないでしょうか。